郷愁に誘われる美酒の夜
「夜の港をウォーキングしてたら、遠くに灯りを見つけて、覗いたら酒場だったから、座って飲まなきゃいけなくなったのさ」と隣でビールを傾けながらイギリス人男性が笑う。聞くとロンドンから福岡へ旅行に来て、二見ヶ浦のホテルに泊まっているという。魚の干物や刺身をひと口食べるたび、Amazingと呟いて感動を隠さない。店主の柴田竜馬さんは「欧米の方は長く滞在する人も多いみたいで、ふらっと入ってきてリピーターになることもありますよ」と笑う。
カウンター7席と奥テーブル数席の店で、小さくて温かくてどこか懐かしい。地元の漁師一家育ちの店主を慕って住民が集うローカル性と、福岡西海岸のインターナショナルが交差するディープな酒場。料理と酒と海で繋がれば、世界は案外狭いのかもしれない。





