
波止場に佇む喫茶店で、喧騒から離れた時間を過ごす。
小さな離島を旅するのが好きな人なら、もしかすると一種の錯覚に陥るかもしれない。
ここが陸続きであることを忘れて、まるで島旅で立ち寄った情景に迷い込んだような、波と丸はそんな不思議な喫茶店だ。
柴田真里子さんは店から徒歩圏内に住む地元民で、自身のカフェ好きが高じてあえて街ではなく近所に開業した。ドリンク類はもちろん、自家製のドーナツやガトーショコラも人気。お店で使うカップやマグも彼女の手作りで、これまたご近所の見湖窯(けんこがま)さんで焼いてもらった作品たち。
「最初は、こんな田舎で店を始めて大丈夫?お客さん来るの?と心配した近所のおばあちゃんおじいちゃん達がお店に来てくれて。そのまま今もずっと来てくれて、すっかり常連さんになってくれてます」とほほ笑む真里子さん。
波と丸は地元の皆さんの憩いの場であり、その穏やかな空気感がこの海を訪れる旅人たちを惹きつけてやまない。



