
モノづくりとは、革新を続けていくこと。それを後で振り返ったら伝統になる。
ルート54を今津から大原へ抜ける道沿いに、シックなデザインが施された建物がある。ここは博多織の老舗・黒木織物の工房兼店舗だ。博多織は鎌倉時代に端を発し、特に生地に厚みや張りがあり、締めると緩まない特性から刀を腰に差す武士の帯として重宝された。帯は昔も今も和装の花形で、日本の双璧とされるのが京都西陣織と福岡博多織。いわば博多織にとって帯は大黒柱であり、中でも名門・黒木織物が作る帯の人気は極めて高い。
社長の黒木和幸さんは地元育ちで「ほんと海と松林以外なーんもない頃から住んどります」と気さくに笑う。「博多織の伝統を継承する身ではありますが、そもそもモノづくりとは、革新を続けていくこと。それを後で振り返ったら伝統になる。そういう想いで日々前に進んでいます」



