
そこには道路も車も人も映り込まない、
パノラマオーシャンビューが待っている。
ルート54号を二見ヶ浦海岸に沿って南へ下ると、右手に大きく海側へ突き出したモダンな建物が見えてくる。お店に一歩入ると、そこには道路も車も人も映り込まないパノラマオーシャンビューが待っている。この日は撮影のため早い時間にお邪魔したが、お店の表には次第に人が溢れはじめ、開店10分前にはすでに長い行列が出来ていた。

人気店であり続ける意外な理由
糸島海鮮堂では、他県から取り寄せる他ないサーモンとイクラを除き、残り9割は九州各地から取り寄せた魚介を使う。
日々の素材は品質によって並・上・極上と分けてメニュー化し、仕入れの状況によってはその日の提供をストップするメニューもある。
もはや街の高級和食店に劣らない姿勢で、二見ヶ浦のような観光地でそこまでこだわる必要があるのかと思うが、これはオーナー飯田一寿さんの考えに拠る。
「僕は長く美容師をやっていて、飲食業界の出身じゃありません。だからコスト意識とかの専門的な目線が無く、あるのはお客さま側の目線だけ。つまり、わざわざ海で食事するなら、多少値段が張っても本当に美味しい海鮮が食べたいという、この気持ちに応えるお店をやっています。あと、福岡といえば海鮮が美味しいが当たり前。これは私たち福岡人にとって大切な価値ですから、守り続けていきたいですね」
飯田さんにとって二見ヶ浦は、青春の地であり憧れの場所。いつかこの海を望む場所でお店をやりたかったという。なんにもなかったあの頃の二見ヶ浦とは違い、今は開発も進んで多くの観光客が訪れる場所になったが、 ”美味しいが当たり前” の福岡プライドを大切に、糸島海鮮堂は3年目を迎えようとしている。


